研究概要

研究室紹介

Organometallic News, 2017, 34–35「研究室紹介」ー北から南からー に掲載;pdfファイルはこちらをクリック

 

まったく新しい概念による高分子合成法の開発

 遷移金属錯体の特徴的な反応性を活かした新しい重合触媒の開発に取り組んでいます。様々な遷移金属を用いて発生させた活性種を用いることにより、種々のポリマーの分子量、分子量分布、主鎖の立体構造等を規制することの可能な重合触媒の開発を目的としています。

 現在は特にジアゾカルボニル化合物の反応性を利用したポリ(置換メチレン)の合成手法の開発に精力的に取り組んでいます。ビニル化合物をモノマーとした重合では主鎖にメチレン(-CH-)が交互に挿入されるのに対して、本研究室で開発した手法では主鎖の全ての炭素に官能基が結合した官能基集積型機能性高分子が得られます。

機能性高分子の精密構造制御

 高分子は「かたち(構造)」を作ることで人々の役にたつことができます。私たちは機能性高分子が作り出すナノレベルから巨視的なサイズに至るまでの様々な構造の制御をテーマに研究を進めています。分子設計や精密合成にとどまらず、構造や物性の評価に至るまで幅広く検討をするのが私たちの研究のスタイルです。最近は主に高分子微粒子の構造制御に取り組んでいます。

 高分子微粒子は塗料やデバイス材料として幅広く使用されている非常に重要な高分子材料で、粒径だけでなく、微粒子の表面機能や形状の精密制御、さらには刺激/環境への応答が高機能化の観点から求められています。私たちは分散重合法という微粒子合成法に着目して、独自のアプローチにより高分子微粒子の表面構造や内部構造がどのようにして形成されていくのかを実験的に明らかにしてきました。また、ここで得られた知見をもとに、水中での分散性や微粒子の形状が外部の刺激や環境で変化する高分子微粒子を開発しています。