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Reaction Organic Chemistry Laboratory,
Department of Appl. Chem., Ehime Univ.

研究内容research

イノシトールの化学


1.はじめに

 有機合成化学および天然物化学が我々の専門です。
重要な生理機能をもち、構造的にも興味ある有機化合物の合成を重要な課題としています。その合成を効率良く達成するために、新しい合成手法の開発にも積極的に取り組んでいます。また、それらの機能を分子レベルで解析することにも興味をもち、多くの生化学関係の研究者とも共同研究を行っています。
ここでは、それらの最近の状況をまとめました。

2.イノシトールの化学への興味

 最近の対象化合物は、イノシトールという糖に似たポリアルコールを含む生理活性物質で、ここ15年くらいで一挙に名前が知られるようになったものです。その発端は、ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸(PIP2)がホルモンや成長因子などの外部刺激により加水分解されイノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)の2つのセカンドメッセンジャーを産生し、IP3が細胞内に蓄えられたカルシウムイオンの動員を促すという1983年の発見です。PIP2は全イノシトールリン脂質の約7%しか存在せず、それから産生するIP3もマイクロモルオーダーで機能を発揮するごく微量の世界です。そのため、IP3の生物学的研究にはその化学合成による供給がその当時望まれていました。また、その構造もユニークで、合成的にも興味がもたれるものです。そんなことで、1985年に我々はIP3の化学合成からその道に踏み込みました。この新しい細胞内の情報伝達系の発見は生化学や化学の世界に大きなインパクトを与え、イノシトール化合物の生理機能が次々と明らかにされ、生命維持になくてはならない重要な物質群になると同時に、合成手法も大きく発展してきました。






3.イノシトールリン酸類の化学合成

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