ウリ類タンソ病菌tRNA (m7G46) メチル化酵素遺伝子破壊株の研究
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RNA修飾の研究(tRNAにおける修飾の役割)へ

 当研究室と京都大学、東京大学の共同研究によって、ウリ類タンソ病菌のtRNA (m7G46)メチル化酵素遺伝子(APH1)の破壊株は、植物への感染性を失うことが示されました。
ウリ類タンソ病は、Colletotrichum lagenariumというカビ(真菌)による植物感染症です。
キュウリやメロンなどの葉を枯死させるほか、出荷された果実にカビがはえてくるため、農業や食品流通上、問題となっている感染症です。
 カビの感染性とtRNAメチル化の詳細な因果関係はいまだ解明されていませんが、酵母での研究に基づくと、tRNAのm7Gの修飾欠損がある種のtRNAの安定性に影響を与えている可能性があります。もちろん、tRNA (m7G46)メチル化酵素がtRNA以外のRNA分子種に作用している可能性も否定できません。
 現在、当研究室と京都大学のグループは連携して、真核生物由来tRNA (m7G46)メチル化酵素の機能解析を進行中です。

tRNA (m7G46) メチル化酵素遺伝子破壊株

K. Matsumoto, C. Tomikawa, T. Toyooka, A. Ochi, Y. Takano, N. Takayanagi, M. Abe, Y. Endo, and H. Hori, “Production of Hetero Subunits RNA Modification Enzyme by Wheat Germ Cell-Free Translation System”
J. of Biotechnol. 133, 453-460 (2008)

K. Matsumoto, T. Toyooka, C. Tomikawa, A. Ochi, Y. Takano, N. Takayanagi, Y. Endo, and H.Hori, “RNA recognition mechanism of eukaryote tRNA (m7G46) methyltransferase (Trm8-Trm82 complex)”
FEBS Lett. 581, 1599-1604 (2007)

Y. Takano, N. Takayanagi, H. Hori, Y. Ikeuchi, T. Suzuki, A. Kimura, and T. Okuno, “A gene involved in modifying transfer RNA is required for fungal pathogenicity and stress tolerance of Colletotrichum lagenarium”,
Mol. Microbiol.,60, 81-92 (2006)

詳細は下記論文をごらんください。

ウリ類タンソ病菌野生株