平成21年 9月21日、三浦 謹一郎 先生がお亡くなりになりました。
こういう個人情報を、大学研究室の公式ホームページに掲載するかどうか悩みましたが、
三浦先生は、ウィキペディアでもヒットする、東京大学名誉教授、日本分子生物学会元会長という公人です。
私は、博士課程の4年間を東京大学・三浦研で過ごしたので、三浦研OBと言っても許してもらえるでしょう。
ならば、当研究室の学生は、三浦先生の孫弟子に当たります。
そこで、三浦先生の追悼のページを書こうと思いました。(文責:堀 弘幸)
私の指導教官は、渡辺 公綱先生です。
ゆえに、大学院生時代は、三浦先生のことを、たまたま、指導教官が移動した先の有名教授ぐらいに
思っておりました。
されど、振り返ってみれば、三浦研時代の経験が、私の研究の方向性に影響を及ぼしました。
東京大学の木村さんの要旨集に、サインする三浦先生
三浦先生の著名な業績のひとつは、mRNAのキャップ構造の発見です。
キャップ構造には、m7Gという修飾塩基が存在します。
大学院生時代、私は、
「キャップ構造なんて複雑なものが突然、真核生物に出現したわけはなく、真正細菌か、古細菌に、
その原型があるはずだ。それは、たぶん、tRNAか、rRNAの修飾だろう。」
と思ってました。
このアイデアが、40歳を過ぎて、tRNAのm7G修飾の研究を始めるきっかけとなりました。
「キャップm7G修飾酵素とtRNAm7G46メチル化酵素は、遠い親戚だ」
ということは判りましたが、この答えは未だ解けていません。
私が、三浦先生に最後にお会いした日と
なった第11回日本RNA学会にて
3人のm7G研究者。rRNAの木村さん、
tRNAの冨川さん、mRNAの三浦先生