最新の研究成果 Awai et al. J. Biol. Chem.
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A. aeolicus Trm1 は、G26のみならず、G27もメチル化する マルチサイト選択性RNA修飾酵素だった!!

Trm1は、tRNAの準保存塩基G26をメチル化して、
N2, N2-dimethylguanine (m22G26)を生合成する
酵素です。
Trm1は、これまで真核生物と古細菌のみに発見されて
いましたが、我々は、真正細菌のAquifex aeolicus
この酵素をコードする遺伝子を例外的に持っている
ことに着目して、その機能解析を進めました。
その結果、驚いたことに、A. aeolicus Trm1 は、G26のみ
ならず、G27もメチル化するマルチサイト選択性RNA
修飾酵素であることが判りました。

我々、ヒトをはじめ、哺乳類はマルチサイト選択性
Trm1を持っているのではないかという仮説があります。
しかし、いまだに、誰も実験的にこの仮説を証明した人
はいません。
きわめて、原始的な真正細菌と考えられるA. aeolicus
マルチサイト選択性Trm1をコードしているという、我々の
研究成果は、Trm1の機能進化を再考させるものです。

東京大学、岐阜大学、理化学研究所との共同研究です。
みなさん、お世話になりました。

天然物tRNACysを精製して、質量分析した結果、やはりG26とG27の両方がメチル化されている。

A. aeolicus細胞内でTrm1が実際に発現し、
酵素活性が存在することを証明したウエスタン・
ブロッティングと二次元TLCの結果

我々が提案したA. aeolicus Trm1の長距離
認識機構(左)、古細菌や真核生物Trm1は
短距離認識機構(右)だと思われる。