無細胞タンパク質合成系は、さまざまなタンパク質を効率よく
生産する技術として期待されています。
しかしながら、まだまだ、いくつか検討すべき課題もあります。
今回は、補因子結合タンパク質のアポタンパク質がどれくらい
生産でき、ホロタンパク質へと変換可能か調べました。
このアポタンパク質に、FMNを加えると、ホロタンパク質へと
変換され、酸化還元電位を求めることもできました(図3)。
FMN非存在下で、このタンパク質を生産(図2)すると、
効率よくアポタンパク質が生産できました。
図2 アポタンパク質生産の様子
今回、我々がモデルタンパク質としたのは、硫酸還元菌の
FMN-結合タンパク質(図1)です。
このタンパク質は二量体で、FMNが各サブユニットに1つ
結合しています。
そしてさらに、非天然アミノ酸
アジドチロシンを35位に導入した
ホロタンパク質とアポタンパク質
を生産。
両者のトリアリルフォスフィン誘導体
への反応性を比較しました。(図4)
図3 酸化還元電位の測定
図5 我々が提案したFMN結合にともなう
FMN-結合タンパク質の構造変化
図4 アポタンパク質(上)とホロタンパク質(下)の
トリアリルフォスフィン誘導体への反応性の違い